[EP] UPCの証拠保全命令(Saisie)
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관리자
2025-08-12
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UPCの証拠保全命令(Saisie) 英米法管轄権には、当事者が自らに有利な文書だけでなく、不利な文書や、相手の主張を裏付けられる文書を開示しなければならないディスカバリー(discovery)制度があります。しかし、本制度は、多くのEPC加入国の訴訟制度には含まれず、UPCにも規定されていません。よって、原告は、公的資料(例えば、侵害製品広告)、トラップ購入(trap purchase)、私設調査などを通じ、直接証拠を確保する必要があり、特に、外部に公開されていない工程に対する立証は非常に困難です。 それを補うために、一部のUE国家では、原告が被告から証拠を確保できるようにする司法的手段を据えています。代表的に、フランスのsaisie-contrefaçon(証拠保全差押)制度があり、それにより、原告の代理人と執行官が被告の事業場に出向き、特許事件に関連する証拠を捜索および確保することができます。 UPC協定(UPCA)は、このようなフランスのSaisie法理を採用し、「証拠保全命令(order to preserve evidence)」(UPCA第60条(1))および「検査命令(order for inspection)」(UPCA第60条(3))にて規定しており、具体的な手順と要件は、Rules 192–198 (UPC Rules of Procedure)(以下、「Rule」)に規定されています。 UPC控訴裁判所(CoA)の主な判例としては、証拠保全命令の手順と効力を扱ったProgress Maschinen v. AWM and SCHNELL (2024.7)事件と、承認要件を扱うMaguin v. TiruおよびValinea
v. Tiru (2025.7)事件があります。上記条文と判例を基に、UPCにおける証拠保全命令手順について説明します。 1.申立ての手順 申立人(侵害訴訟の原告、主に特許権者)は、証拠保全命令の申立書には、要請する措置の具体的な内容と、証拠の位置、必要性を明確に記載し、それを裏付ける事実と証拠を提示する必要があります(Rule 192(2)(b)–(d))。申立ては、本案の訴訟前後両方において可能です(Rule 192(1))。なお、被告を審理しないex parte方式でも申立てすることができ、この場合、被告を審理してはならない理由を具体的に説明する必要があります(Rule 192(3))。 2.承認の要件 証拠保全命令の承認可否は、裁判所の裁量によって決められ、UPC訴訟規則に基づいて、裁判所は緊急性(urgency)、証拠確保不能リスク(demonstrable risk of evidence being unavailable)、被告を審理しない必要性(ex parte手順)などを総合的に考慮します(Rule 194(2)、Rule 197(1))。 Maguin v. Tiru事件において、UPC控訴裁判所は、被告の廃棄物の焼却により内部を検査できる期間が間もなく終了する状況を聞き、証拠の確保が不可能となるリスクがあることを認めました。この判決は、裁判所が時間的制約や物理的な証拠の確保への可能性を中心に、緊急性を判断することを表しています。 一方、被告を審理せずに(ex parte)命令を下すことは、例外的な措置として、遅延によって原告に回復不可な損害発生への懸念や、証拠隠滅・確保不可な危険性が立証できる場合のみに許容されます(Rule
197(1))。 さらに、証拠保全命令申立ては、仮処分(preliminary injunction)申立てと異なり、高いレベルの侵害の蓋然性の立証を要求しません。UPC控訴裁判所は、Maguin v. Tiru事件で、証拠保全命令申立ての要件は、低いレベルであり、合理的に入手可能な証拠(reasonably available evidence)のみで十分であると判示しました。 3.効力 証拠保全命令が発行されれば、裁判所は専門家や執行官を指定し、命令を執行させ、報告書を裁判所に提出させます(Rule 196(4)–(5))。申立人の役職・職員は、執行現場に立ち会うことができず、専門家または執行官がそれを執行します(Rule 196(5))。 報告書は、裁判所に提出された後、被告に機密保持要請の機会を与えた後、申立人に公開されます(Rule 196(1)後段)。Progress Maschinen v. AWM事件で、UPC控訴裁判所は、証拠保全命令の目的が単なる保全にとどまらず、申立人に証拠を公開することにあることを明確にしました。更に、被告は機密情報保護のために、閲覧を制限することができるとしています。 なお、申立人は、報告書の提出日を考慮し、裁判所の指定する日から一ヶ月、または20営業日のうち、長いほうの期間内に、本案の訴訟を提起する必要があり、それを守らない場合には、命令は取り消され、確保された証拠は訴訟で使えなくなります(Rule 198(1))。 まとめ 結論として、UPCにおける証拠保全命令は、ディスカバリーのない訴訟環境で証拠確保のための強力な手段として機能します。ただ、緊急性と証拠確保不能リスクの立証、ex parte手順要件、機密保持など、付随的な条件を満たす必要があり、Progress Maschinen v. AWMとMaguin v. Tiru事件は、それに対する代表的なCoAの判決として参考にすることができます。
出処:http://kpaanews.or.kr/news/ |
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